『先生の結婚式』
ホモの高校教師であるマッキン。隠していたわけではないが、生徒達に気づかれてしまう。生徒達は「俺達は認めているから、その男の人ときちんと結婚式をした方がいい」と言いだした。それはすぐに全校生徒参加の行事となり、学校の体育館を借りての大イベントに・・そこでのスピーチを頼まれた、幼なじみの龍之介。

 『メトロ』の初期のコンセプトとして「一つ一つの話は短編であるが、それを繋ぎ合わせることによって、一つの街が浮かび上がる」というのがありました。では、そこで浮かび上がる街というのはどんな街なんだろうと、Vol.2を作るにあたり、様々なメモを作りました。実在する街を模倣してもしかたがありません。やはりやってみたいのは「実際にありそうだけど、どこにもない街」を現出させることです。この話に出てくるマッキン先生の役者、牧野とはずいぶん前から知り合いではあったのですが、実際に芝居をするのは初めてでした。彼の本職はパチプロです。パチンコで食べています。それも15年近くです。なんていうんでしょう、勝負師の顔をしているんです。この風貌をなんとかうまい形で生かす方法はないものか、と悩み最初は「死刑囚」でいこうと思っていました。『グリーンマイル』みたいなものってできるじゃないかと。そして、このVol2の稽古に入る前に私は上海を10日ほど旅しまして、夜、ホテルであれこれまた『メトロ』用のメモを作っていたんですが、今までのドラマって、マイノリティが抑圧されることによってドラマを展開させるものが多いよなあと思ったのです。そうではなく、マイノリティがまったく抑圧されることなく、するするとなんの問題もなく話が進んでいって、それで世界が構築できないものか、と思ったわけです。例えば、ホモセクシャルがいる。でも、誰も彼を笑いものにせず、、キワモノ扱いでもなく、その世界のみんなが存在を認めている。ただし、全員が全員、諸手を挙げて賛成ということでも、もちろんない。現実的な問題は、問題としてそこにある。『メトロ』という街はそんな街であって欲しいと思ったのです。

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